大分建設新聞

インタビュー

池永 征司さん(池永セメント工業所社長)

2013年12月17日
 昨年のこと。「来年からやってみないか」と、先代から声をかけられた。天の時が訪れた。地の利は極めている。人の輪も広げた。今年7月に、38歳で代表取締役社長に就任した。  子供の頃から会社を継ぐ、という意識はあった。リーダーとしての経験を積めるようにと、生徒会やサークルの役員を積極的に引き受けてきた。「もちろん今のビジネスに役立っているというわけじゃない」と言うが、氏より育ちだろう。  大学を卒業して、大手インターネット通信会社に就職、3年間勤めた。当時はITバブルの真っ盛りで、インターネットが急成長して機器も技術も急速に変化した時代。  「3年間だったが10年分働いたような気がする」と、激務を振り返るが、後述するようにITの知識と経験が、現在の社業にも生かされている。  その後、ISO9001取得など組織経営や品質管理の変革に取り組んでいる最中の同社に戻った。当初1年間は生産・品質管理を、その後3年間営業を担当し、関連企業のソフトウエア会社に出向。この時に、自社用に構造計算ソフトやミルシートの自動作成ソフトを作成し、外販もした。また、本紙の入札情報データを独自に加工して、社内の営業担当に配信するシステムを開発し、現在でも運用・活用している。本紙のデータを活用していただいている先進事例だ。  社長に就任してから、九州北部豪雨災害の復旧需要で、工場をフル操業させている。しかし公共土木工事がこの先減少することは明らかだ、とみている。同社では従来から宅地開発用のL型擁壁や側溝を供給してきたが、木造住宅用べた基礎をプレキャスト化した新商品を開発した。現在「小さな木造住宅」の建築需要が旺盛なようで、既存の顧客をベースに将来性も見込める分野だ。「モノがなかった時代と異なり、我が社も変わらなければいけない。しかし全くの異分野に飛び込むつもりはない。今の事業の延長線上で、どれだけ新しいことをやるか。半歩先へ、が実は一番難しい」と語る。  社内の生産・品質・物流管理システムも、最先端のクラウド化を自社で進めている。大企業のシステム部門でもなかなか難しいことだ。営業、経営管理、新商品の開発、そしてシステム開発、と、多忙な毎日が続く。


独自の管理システムを開発した池永社長

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