大分建設新聞

インタビュー

上野輝彦さん((株)上野建設会長)

2014年02月19日
 昨年8月に息子の公則さんに社長の座を譲り、(株)上野建設(日出町)の会長になった輝彦さん。現在、同社近くの私有地にギンナンの加工場を自らの手で建設している。  大分県は、愛知県に次ぐ全国2位のギンナン生産量(栽培面積は1位)を誇る。中でも、日出町は県内の約4割を占める最大規模の産地だ。ミカンの転換作物として普及し、同町と別府、杵築両市の農家でつくる「ギンナン部会」が発足し、鹿児島、高知、佐賀などの各県から視察に来るほど。上野さんはその部会長も務めている。  ギンナン農家の家を建てたことがきっかけで、自らもミカン園をギンナン畑に転換し、生産している。県や町が特産品として、力を入れていることもあり、上野さんは、地域貢献のために加工場を建てようということになった。  木造の建物といえば、プレカット工法による建築が主流だが、上野さんは昔ながらの墨付けをして、こつこつと切り出す。その手つきは見事で、長いこと職人として歩んできた匠の技がいかんなく発揮されている。  現在82歳。17歳で大工見習いとして建築の道へ進み、修行を重ねて棟梁になり、小学校などの建築に携わってきた。盆と正月ぐらいしか休みはなかったという。母親から「仕事に行くときは、人より先に道具をそろえ、仕事場で待っていなさい」と教えられ、いつもそれを実行していたそうだ。そんな職人気質の人らしく「建築は、のちにずっと残るもの。自分が建てた家が残っているとつい見入ってしまう」とうれしそうに話す。  「今の私があるのは、周りと家族の支えがあってこそ」と上野さんは感謝する。そばで公則社長は「会長が元気で働くことが一番。私たちも会長の挑戦する意欲を大事にしたい」と温かく見守っている。まだまだ現役棟梁。若い者には負けられない。    


82歳で現役棟梁の上野さん

フォトコン結果発表
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP