大分建設新聞

インタビュー

廣瀬 啓二郎さん(玉来ダム建設事務所長)

2014年06月05日
 竹田ダム建設事務所が、4月1日から玉来ダム建設事務所に名称が変わった。  一昨年7月の九州北部豪雨の際は、22年に完成した稲葉ダムが稲葉川の氾らんを最小限に食い止めてくれた。度重なる水害の経験から、玉来ダムに寄せる地元の期待は非常に大きい。過去にも大野川水系の玉来川の氾らんは、竹田市だけでなく下流の豊後大野市や大分市にも深刻な影響を与えてきたため、多くの県民が玉来ダムの早期完成に関心を寄せる。  平成3年度に始まった事業は、民主党政権下の検証作業で2年間のブランクがあったものの、3年前に事業の継続が決まった。現在、概略設計が終わり今年度から詳細設計に向けて、準備を進めている。  稲葉ダムの管理は、竹田土木事務所に移管した。「これからは玉来ダム建設だけに専念できる。ダム建設地としては不向きな地質だが、さきに完成した稲葉ダムの建設ノウハウを応用したい。自分以外は、ダム建設のエキスパート揃いなので」と笑顔で話す。  建設予定地は、4回の阿蘇火砕流とその間に挟まれた軟質な層が重なっていて、ダム建設には適さない場所。貯水するダムとは違い、玉来ダムは流水型の治水専用の重力式コンクリートダム。  「現在、早期の完成を目指し地元地権者と用地取得交渉を進めている。ダム本体の着工に必要な用地の取得を最優先に進め、並行して詳細設計や施工計画を立てていきたい。今年度は、工事の支障にならないように河川の流れを変えるための水路(転流)トンネル工事と工事用道路の準備も進めている。工事用道路は、将来的にはダムの管理用道路としても使い、時間のかかる工程や工事は順番を変えながら、効率的に進めたい」と、出来る限りの工夫を重ねているようだ。  「集中豪雨や大雪の時に一番に助けてくれるのは、地元の建設業者さんたち。その郷土愛と誇りを忘れないで、経営を継続してもらいたい」と言う。  「プレッシャーは感じるが、やりがいがある。毎日、遅くまで頑張る職員の健康を第一に、共に頑張るため10年近く空き家になっていた竹田市内の官舎に移ることにした」と話した。  大学で弓道を始め、国体などに出場したほか、平成3年には全国弓道大会で個人優勝。県職員で初めて県民栄誉賞を受賞した、教士6段。現在、県弓道連盟副会長、県体育協会理事の顔も持つ。55歳。     略歴  昭和58年、九州大学を卒業、県職員に。国東土木事務所建設課長、豊後大野土木建設保全課長、日田土木次長、河川課防災調整監などを経て、前任の豊後大野土木所長から今年4月、現職。




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