田中 久二さん(大野川上流農業水利事業所長)
2015年01月27日
農林水産省の九州農政局大野川上流農業水利事業所(竹田市)は、大蘇ダム(熊本県産山村)の水浸透(漏れ)を抑える貯水池浸透抑制対策工事を進めている。所長の田中久二さんに工事の進み具合などを聞いた。
大蘇ダムは、竹田市と産山村、阿蘇市にまたがる約2000㌶の農用地の新規水源として、大野川水系大蘇川に建設したが、貯水池から周辺地山への想定以上の水漏れが確認された。このため用水供給計画を延期。同事業所が22~24年度にダム湖堤体の上流部左岸側(約3万平方㍍)に試験施工した厚さ10㌢のコンクリート吹付工について、現地への適用性(施工性、安定性など)が確認できたため、現在、同じ工法で右岸斜面部(1万8400平方㍍)の吹付工事を進めている。
同事業所では、早期完成で地元の要望に応えたいとしているが、「残る斜面部などの浸透抑制対策工事の現場は、出水や厳しい冬場の気象条件などにさえぎられることもある。ある意味時間との勝負」と言う。
また「この地域では、夏でも冷涼な高冷地の気候を生かし、トマト、キャベツ、ハクサイ、レタス、ダイコンなど多種多様な作物が生産され、特にトマトは近年、西日本有数の産地として定着してきている。しかし高齢化による農家数の減少など、農村を取り巻く厳しい環境は全国の状況と変わらないと感じている。地域活性化に向けた農業、農村づくりを、地元と一緒に積極的に進めたい」とも話す。
田中さんは、これまで新潟や長野、山形などの雪国で、生き残りをかけて懸命に働く、中小建設会社の苦闘を見てきた。「公共事業がしぼんでくると、当地のように公共工事への依存度が高い中小業者は打撃が大きい。災害や緊急を要する時だけお願いされても無理な話で、地元業者を大切にしないと、災害発生時にすぐに対応できない。そうした技術を持った地元業者がいるからこそ、地域インフラは守られているわけですから」とも話した。
大蘇ダムは、竹田市と産山村、阿蘇市にまたがる約2000㌶の農用地の新規水源として、大野川水系大蘇川に建設したが、貯水池から周辺地山への想定以上の水漏れが確認された。このため用水供給計画を延期。同事業所が22~24年度にダム湖堤体の上流部左岸側(約3万平方㍍)に試験施工した厚さ10㌢のコンクリート吹付工について、現地への適用性(施工性、安定性など)が確認できたため、現在、同じ工法で右岸斜面部(1万8400平方㍍)の吹付工事を進めている。
同事業所では、早期完成で地元の要望に応えたいとしているが、「残る斜面部などの浸透抑制対策工事の現場は、出水や厳しい冬場の気象条件などにさえぎられることもある。ある意味時間との勝負」と言う。
また「この地域では、夏でも冷涼な高冷地の気候を生かし、トマト、キャベツ、ハクサイ、レタス、ダイコンなど多種多様な作物が生産され、特にトマトは近年、西日本有数の産地として定着してきている。しかし高齢化による農家数の減少など、農村を取り巻く厳しい環境は全国の状況と変わらないと感じている。地域活性化に向けた農業、農村づくりを、地元と一緒に積極的に進めたい」とも話す。
田中さんは、これまで新潟や長野、山形などの雪国で、生き残りをかけて懸命に働く、中小建設会社の苦闘を見てきた。「公共事業がしぼんでくると、当地のように公共工事への依存度が高い中小業者は打撃が大きい。災害や緊急を要する時だけお願いされても無理な話で、地元業者を大切にしないと、災害発生時にすぐに対応できない。そうした技術を持った地元業者がいるからこそ、地域インフラは守られているわけですから」とも話した。
略歴
昭和59年に農林水産省入り。前任の北陸農政局信濃川水系土地改良調査管理事務所長(新潟県)を経て、昨年4月から現職。九州勤務は2回目、大分は初めて。三重県出身。54歳。
昭和59年に農林水産省入り。前任の北陸農政局信濃川水系土地改良調査管理事務所長(新潟県)を経て、昨年4月から現職。九州勤務は2回目、大分は初めて。三重県出身。54歳。