大分建設新聞

インタビュー

安部 雄一さん(豊肥振興局長)

2015年06月26日
 これまで税務畑を中心に歩いてきた。豊肥振興局勤務は初めてで、「ここは、自然豊かで農林業が盛ん。まだ勉強中だが、野菜やコメ、麦、シイタケなどがどんなふうに栽培されているのか、農家の現実がだんだん分かってきた」と、管内を回っての感想。
 管内には598の集落があり、担い手不足をどうするかが大きな課題。そこで県は、26年度から、高齢化で農業が出来なくなった農家など農地の出し手と、耕作を希望する受け手の間に立ち、両者の調整をする「農地中間管理機構」を設置した。農地を集積し、担い手を確保することにより、衰退しつつある地域の農業振興を目指すもので、職員が農家と一緒に経営の5ヵ年計画「人・農地プラン」の作成を進めている。
 小規模農業では、収益を上げようにも限界がある。近年、米価も下がってきた。生産性の高い農業を目指し、麦や野菜などコメ以外の作物への転作も奨励している。「農林基盤事業では、農地の区画整備や、農業用給排水路などの整備を進めている。また、集落の中核農家を中心に農地を集約し、集落営農を進めるなど、新たな担い手の確保や今後の経営戦略を農家と一緒に考えている。生産コストを下げ収益を上げる取り組みを、さらに加速させたい」と力が入る。
 戦略品目は、竹田市は荻町のトマト、豊後大野市はピーマンや菊、甘太くんなど。それぞれ新たな耕作希望者も増え、生産規模を拡大している。
 7月1日にはJRのデスティネーションキャンペーンが始まる。竹田市は大船山観光登山バスの運行開始や、長湯ダムのウェイクボード施設開設など新たな観光事業、豊後大野市は原尻の滝のライトアップや夜神楽、気球などのイベント企画やロッジ清川の宿泊施設を改修するなど、両市ともおもてなしの準備を進めている。「両市を支援して、観光客を豊肥地域に呼び込みたい」と張り切る。
 「建設業は、地域住民の財産や命を守る、社会インフラの整備を担う重要な仕事。中九州横断道路の朝地―竹田間の関連工事や玉来ダム建設などが予定されており、また広域的な課題として減災対策工事も必要なので、頑張ってほしい。私どもも現場に耳を傾けてニーズをとらえ、何が課題なのかを分析し、地元と協議しながら解決策を探していきたい」と語った。
趣味は音楽鑑賞。歌謡曲、ポップス、唱歌・童謡、クラシックと幅広い。単身赴任で、週末には洗濯物やゴミまで自宅に持ち帰るそうだ。


略歴
昭和55年、九州大学法学部を卒業して県職員に。日田県税事務所を振り出しに、税務課長、前任の総務部参事監兼税務課長を経て、今年5月、現職。大分市出身。57歳。
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