大分建設新聞

インタビュー

船橋 昇治さん(筑後川河川事務所長)

2017年12月15日
 7月5日の九州北部豪雨で、24年豪雨の倍近く甚大な被害が発生した。
筑後川などの管理をする船橋昇治九州地方整備局筑後川河川事務所長に、この夏を振り返ってもらった。
 人事異動で、7月1日付けで着任。3日は、台風接近に対応するため事務所に泊まり、5日に赴任あいさつのため、朝倉市長を訪問した。
筑後平野は渇水で田植え作業に苦労しており、その夕方から急に記録的大雨となったため、すぐに豪雨対応にとりかかった。
 朝倉市は、前職の水資源機構筑後川局(久留米市)の関係者が多く、地理的知識もあり、通常は排水ポンプの要請があってから設置するが、すでに浸水を確認していたため朝倉市に連絡。
こちらの判断で、夜中に排水ポンプを配置し作業を始めた。
 市内は、至る所で川が氾濫しており、災害発生後は11月末まで流木の除去や埋まった川の掘削など、応急復旧工事に追われた。
筑後川水系の赤谷川などは、大量の土砂や流木が流出し、権限代行による緊急的な河道確保のため、土砂などを除去した。
この権限代行制度は、5月の国会で創設された新制度で、河川を管理する福岡県に代わって、九州地方整備局が土砂などを取り除く工事に着手するもので、全国で初めて適用された。
 通常なら、災害発生から施行まで6ヵ月間を要するが、今回は、土砂や流木により河道が埋塞し、次の出水時に二次災害が発生するおそれが極めて高いため、緊急的な対策が必要であるとして、施行まで1ヵ月間で適用となった。
 地元からのいろんな要望を踏まえ、県や市と一緒に地域の安全をいかに確保するか、どんな整備をしたら良いかなど、今後も、技術者として対応していきたい。
 日田市小野地区は、建設業者が迅速に対応してくれたおかげで、予定より早く完成した。
29年度の花月川復旧工事に、約20億円を見ている。「ハード面だけでなく、ソフト面では、日田の秋の風物詩『千年あかり』など、水郷日田のイメージを大事にしたい。市町村への水防計画支援、河川流域の住民やボランティア団体への協力など、地域の方に喜ばれる仕事をしていきたい」と話す。



略歴
昭和61年4月に建設省入省、関東地方整備局京浜河川事務所長や水資源機構筑後川局次長を経て、今年7月、現職。54歳。
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