大分建設新聞

インタビュー

上谷 修さん(別府港湾・空港整備事務所長)

2018年05月30日
 博多、熊本の港湾・空港整備事務所勤務などを経て、別府に着任。大分での勤務は初めて。
「大分は温泉をはじめ自然にあふれたいい所だと感じる。仕事として管内を回ってみると、どの港も元気な印象を受けた」と明るく話す。
 長年、九州内の港湾・空港事業に携わり、経験は豊富だ。
福岡県大牟田市と鹿児島県指宿市の2度の自治体出向も経験し、首長・地元の声を聞きながら、港を生かした地域活性化を模索した体験も併せ持つ。
出向先では、2015年7月に世界文化遺産に登録された福岡県大牟田市の三池港の開港100周年記念事業や、鹿児島県指宿港海岸の直轄事業化で汗を流した。
 大分県内では南海トラフ巨大地震が懸念される中、17年に「大分港海岸直轄海岸保全施設整備事業」が着工、早急な整備が求められていることもあり、災害に備えた事務所の防災体制強化も目指している。
 これまでの仕事で一番印象深いのは、熊本地震への対応。所長として熊本港湾・空港整備事務所に赴任して2週間で地震が発生。予期せぬ大災害が起きた。
 「地震発生直後は、陸上交通網の被害が大きかった事もあり、港湾や船舶を活用した災害支援ができないかと考えた。比較的被害の少なかった港湾を活用し、海上の漂流ゴミの回収や海域環境のモニタリングを実施する海洋環境整備船を使って、給水支援や支援物資の搬入をした。また、避難者に宿泊できる船(ホテルシップ)を停泊させるなど、災害支援の手伝いをさせてもらった」と振り返る。
 着任早々で、地元の方との面識も少なく、事務所職員とともに職場に2週間寝泊まりして、さまざまな協議をしながら対応した経験が忘れられないという。
 現在、大分空港では滑走路の耐震化のための液状化対策として地盤改良工事、老朽化対策のための滑走路改良工事を実施中で、17年には地盤改良工事で滑走路に隆起が生じたため、再発防止対策には万全の態勢を整えて工事を進めているという。
 「災害発生時に、真っ先に現場に向かうのは地元業者の皆さん。そのためにも地元企業への受注機会の確保をしっかりと取り組んでいきたい。また、業界のイメージアップを図り、将来建設業を目指してもらえるきっかけとなるように、港湾の土木の仕事もしっかりと魅力を伝えていきたい」と力強く語った。
 職員には「仕事は、元気に楽しく明るく」と話し、お互いに前進しようとする姿が清々しい。
野球観戦や、湾岸沿いのドライブが楽しみという鹿児島県日置市出身の57歳。



1979年鹿児島工業高校を卒業後、旧運輸省第四港湾建設局採用。
九州地方整備局企画部、港湾空港部、大牟田市産業経済部、指宿市建設部、博多港湾・空港整備事務所副所長、熊本港湾空港整備事務所長を経て、4月から現職。
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