大分建設新聞

インタビュー

嶺 憂香さん(㈱センコー企画)

2019年02月25日
 入社後、初現場となる三佐雨幹線付替工事(大分市)で、女性技術者ならではの目線と、地元住民への気配りで、親しまれる工事の立役者となった、嶺憂香さん。
 情報科学高校情報電子科を卒業後、同級生の多くが半導体関係の企業に就職していく中、「小さい頃から〝ものづくり〟に興味があり、現場の仕事がしたかった」と、入社を決めた。
きっかけは、高校3年生で体験した現場見学。
センコー企画が手掛ける、橋梁や道路、グラウンド整備の施工状況を見学し、そのスケールの大きさと、そこで働いている社員が汗を流しながら、構造物を一つ一つ丁寧に造っている様子を見て、「一緒に働きたい」という気持ちが強くなったそうだ。
 初現場は、管渠工のプレキャストカルバートを設置する施工がメイン。
材料搬入時の出入口で一般車両との接触事故防止対策が必要不可欠。
近くの小・中学校の児童、生徒らの登下校時間とも重なるため、学童らへの声掛けや誘導にも気を配った。
さらに、地域内で行われている工事を身近に感じてもらおうと、児童らに依頼し展示した工事絵画は、学校側にも大変喜ばれた。
 嶺さんの仕事は、工事中の写真を撮ったり、書類作成などだが、地元住民とのコミュニケーションづくりにも力を入れた。
地元の女性を対象にした現場見学会を開き、工事の進捗状況をリーフレットにして定期的に配布するなどしたことで、近隣住民から親しみを持たれ苦情はゼロだったという。
 測量助手として、トランシットとレベルを据え付ける作業も覚え、嶺さんが計算したデータは正確で、手直しがほとんどないほど。
「測量は数㍉のずれも許されない世界。緩い勾配の計算が難しかった」と振り返る。
 「現場の仕事は、以前と違い最近は女性でも働きやすい環境が整ってきた。現場の楽しさを、後輩たちにも伝えていきたい」と語り、休日は、友人と買い物やドライブなどを楽しむ、同社のけんせつ小町チーム「オオイタ雪月花」の一員。
 現場所長の安田賢二郎工事課長は、これまでの工事では「また公共工事ですか」と嫌がられることもあったが、今の工事の完了が近付くにつれ、沿線住民から「会えなくなるのが寂しくなる、次回の工事もきてね」などの声をかけられ驚いたという。
「公共工事には地元住民の理解と協力が不可欠。女性技術者の存在や気配りで、住民が寄り付きやすく、話しかけやすい環境づくりに大いに役立った。今後も女性技術者を増やしていきたい」と話している。



カルバート設置工事で作業をする嶺さん
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