大分建設新聞

インタビュー

村岡 馨さん(NPO法人・智楽フォーラム理事長)

2020年03月03日
 建設業界において技術者は絶対に欠かせない。少しでも人材を増やし、熱心に高度な技術者育成に取り組んでいる「NPO法人・智楽フォーラム」。
日本地研㈱大分支店(大分市高江西)の支店長でもあり、フォーラムの代表を務める村岡馨理事長を訪ねた。
 村岡理事長は35年間、主に県の土木技術職員の道を歩んできた。
そこで、35年間で今も印象に残る出来事を尋ねてみると―。
 「1990年、県砂防課勤務時に竹田市で大水害があった。翌年には、風倒木災害が発生し、技術的にどう対策を取るべきか真剣に考えさせられたことが自分をより成長させた」。
 技術の勉強に没頭した日々だったという。
 「91から92年度に予算100億の緊急砂防事業が採択され、日田、中津、宇佐、別府、竹田土木管内に多くのスリットダムを建設した。2012年、県砂防課長の時、九州北部豪雨で流木による被害が少なかったのは、この時の経験による成果だと思う」と、同ダムの整備レベルについて、大分が先進県であることを強調した。
 一方で「08年に中津日田道路(定留~伊藤田約4㌔間)が初めて開通した喜びは、当時、担当者だった一人として忘れない」と、開通時の感激を振り返る。
 そんな中、04年に県土木職員約20人で前身の「智楽の会」を結成した。
「技術士試験はかなり難しいし、一人で勉強するのは大変だ。だから声をかけて、目指す仲間で情報を共有して勉強しようと集まったのが最初だった」と、結成当初のいきさつを語る。
月に1回程度の勉強会だったが、当時の小風茂副知事を講師で呼んだこともあるという。
 「智楽」の由来は「智」を「楽しみ」とする有名な民俗・博物学者、南方熊楠の言葉から名付けたという。
その後、紆余曲折はあったものの、17年3月からNPO法人として再出発。
県や民間の技術士ら会員36人が、建設部門、総合技術監理の合格を目指す受講者にアドバイスをしている。
今年も勉強会の雰囲気を好んで約20人が受講。論文のアドバイスなどを積極的に行っている。
建設部門の合格率は15%、総合技術監理は10%未満の超難関だ。
 村岡理事長は、同法人や経験を生かして「世のために土木をしている」ことを広めたいという。
 「勉強会の継続と多くの受講生募集はもちろん、社会資本整備に携わる人の姿や構造物の美しさ、多自然川づくりなど環境に配慮する優しさ、そして老朽化施設を再生させる技術力を伝える広報活動にも積極的に取り組みたい」と意気込んでいた。
 4月からは大分工業高等専門学校の都市・環境工学科で非常勤講師(技術者倫理)を勤める予定だ。
 また、仕事とは別に1981年~82年アーチェリーの国体選手として出場した経験を持つ。
今年64歳。趣味はゴルフと読書、別府市東荘園で奥さんとの2人暮らし。



略歴~1956年大分市生まれ、上野ヶ丘高校、
九州大学工学部土木工学科卒。80年県企業局、
2008年中津日田道路建設室長、10年玖珠土木所長、11年県砂防課長、16年中津土木所長を退職後、現職に。
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