大分建設新聞

インタビュー

光長 伸彦さん(農林水産部審議監)

2020年05月11日
 農業の技術職として県に入り、生産現場や行政部門で仕事をしてきたが、この5年間で、3年間を勤務した大阪事務所での経験が大きい。
 「大消費地で県産品営業の最前線で働かせてもらったことは、すごく良い経験になった」と振り返る。
 県産品の中で、単価の高い品目は東京への出荷もあるが、一般的な品目は関西市場を中心に出荷している。
「関西で消費の多いピーマンなどの生産に力を入れている。特に京都の市場が大分県のメイン市場」と、県民もよく知らない関西事情を説明する。
 ただ、農業の生産現場は高齢化しており、産地も縮小しているという。
しかし「大分は就農学校やファーマーズスクールのように、産地自ら儲かるシステムをつくれる後継者を育成していることが市場関係者の中で評価が高く、信用が高まり、大きく期待されている」と、大分の客観的評価の高さを語り、今後の方向として「水稲から園芸品目への転換を図っていかなければならない」と中心的な業務の転換点に来ていることを強調。
 その後継者育成システムはどうなのか。
「かなり出来上がってきており、研修制度も九州では群を抜いている。大分に期待する言葉はたくさん聞いてきたので、産地育成で生かして行きたい。農業が見直されるチャンスだ」と見通しは明るい。
「豊後高田市の水崎地区はモデル地区。また、宇佐市や国東市の圃場整備の一部では新規就農者への実例があるが、まだ始まったばかり。県全体にスピード感を持って広めていかなければならない」と、これからの県農業への使命感を表す。
 若い人の農業参入について聞くと「以前は、例えば一村一品だと量がまとまらなかったが、今では県の全域レベルでロットを確保して生産流通させ、消費地での大きな有利性を得ている。京都などの市場が求める生産をするためには、若い人が入り、品質の高いものを作れるほ場にするのが基本。若い人には市場研修などを行い、理解を深めてもらっている」と、県農業は前途洋々だと語る。
 「大分は水稲の依存度が高かったので、市場、消費者が欲しい品目に変えることにより農家が儲かるという構造改革の加速が必要。そのためのほ場整備は重要な役割を担う。今は客土をして園芸作物を作りやすくしなければならないし、人単位のゾーニングではなく、作物単位のゾーニングをしなければならない」と、ほ場整備の重要性を語る。
 生産性を上げ、高品質なものを作っていく、という点でも基盤の整備は重要。その基盤整備を担当するのが建設業界だ。
 「何をどう作るか、人をどう配置するかというゾーニングの話し合いに繋がる場作りという点でも重要な役割を担う。生産と基盤作りが一体となって進んで行かないと大分県の農業は良くならない。ぜひ一緒になってやっていただきたい」と、建設業界の協力に大きな期待を込めて話を結んだ。
 趣味は毎朝約5㌔のジョギング。10年ほど前に県庁内での駅伝大会(約60チーム)の練習に誘われ、走り始めた。
今は、大阪での単身赴任も終わり、奥さんと娘2人の4人での生活。



(略歴)1985年、県職員に。北部振興局農山漁村振興部長、
大阪事務所次長、農地活用・集落営農課長、
大阪事務所長などを経て、今年4月から現職。58歳。
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