大分建設新聞

インタビュー

幸 勝美さん(㈱幸建設代表取締役)

2020年05月12日
 2020年春の褒章で別府市の㈱幸建設の幸勝美代表取締役が業務精励(建設設計監理業)の部門で黄綬褒章を受章した。
 幸さんは、幼少期から宮大工をしていた父の仕事を見て育ち、時には手伝い、建築の仕事を常に身近に感じながら成長した。
1998年、事業承継で同社の代表取締役へ。
伝統的な木造建築技術を基礎としながら、鉄骨造の利点も取り入れた設計・施工に取り組み、社寺建築の分野では数多くの優れた施工実績を残している。
 今回の栄誉について「大変名誉なことでありがたく思っている。先代がやってきたものを引き継ぎながら、また周囲の方々の支援のおかげで、私個人でなく会社として評価された結果だと考えている」と、受章の感想を話した。
 社寺建築の分野を手掛けるきっかけは「幸建設として社寺建築に大きく方向を向けたターニングポイントは、先代が本願寺別府別院鐘楼門(別府市)を手掛けたことだった」。
幸さん自身としては「佛山寺禅堂(由布市)や高城子安観音(大分市)などの社寺建築は、通常の造りと異なっていたため、大変印象深い施工例になった」と、語る。
また「木造建築は、手入れさえすれば数十年から百年単位で長持ちする構造上と素材の利点がある。山が手入れされて、その山の木を使い、また山を手入れしてという資源循環は、木造建築ならではのこと。木の香りのする家で過ごすと心が安らぎ、人間の健康にとってもプラスに働くはず」と、木造建築の専門家としての深い理論を語る。
 現在、幸さんは協同組合「木の家の健康を研究する会」に加入して、関東圏の他社工務店や九州大学農学部などとともに、木材が人体の健康にどう影響を与えるかについて勉強し、また、木の家の良さを広めていくなどの活動もしている。
 業界の活動では、県建築士会で理事や副会長などの役職を歴任し、会員の指導・育成も行っており、「木の本来の良さをよく理解してもらい、自然素材を極力使って良い環境をお客さまに提供できる建築士になってもらいたい」と会員へ向けてエールを送る。
 今後の抱負として「先代が造ってはいない多宝塔などを手掛ける機会があればやってみたい」と、将来手掛けてみたい建築を語った。
 2004年大分県豊の国木造建築賞、第19回最優秀賞。09年大分県豊の国木造建築賞、第24回最優秀賞。
17年第1回おおいた木の良さを生かした建築賞、最優秀賞など数々の賞を受賞している。別府市在住の65歳。


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