大分建設新聞

インタビュー

広津留 慶朗さん(宇佐土木事務所長)

2020年06月12日
 インタビュー取材を受けるにあたり「入庁直後の部署は、新産業都市開発局萩原土地区画整理部。新産都大分ならではの職場で、県の事業としては珍しい区画整理や公園整備という貴重な経験ができた」と、話し始めた。
 宇佐土木事務所での勤務は初めて。ただ、宇佐には縁があり、30年以上前、当時の県漁港課(現在の漁港漁村整備課)に配属された時に、県が管理する長洲漁港を担当したことがある。
「出身が佐伯なので、干満差の大きな干潟を見て驚いたこと、鋼矢板式の鋼構造物の設計や積算を任せられたことを思い出す」と苦労を懐かしみながら語る。
 長洲漁港の整備は、当時、船の大型化に伴い大きな船溜まりが必要になり、岸壁を新設するためだった。
「この時の経験は、後のさまざまな職場で、とても役に立った。若い人、経験のない人への指導や継承もできた」と現場での経験の尊さに力を込めた。
 土木職の中で道路や河川、砂防などの事業以外に入札管理や工事検査などさまざまな分野を経験している。
「どこに行っても現場とのコミュニケーションは大切」と付け加えた。
 管内の大きなプロジェクトとしては、県北地域の産業道路として重要な役割を担う中津高田線の柳ヶ浦バイパスがあり、南北方向の幹線道路で玖珠町へ通じる国道387号の道路改良や防災対策の重要性も高い。
旧宇佐市内を中心に直線道路が多い半面、交通安全対策では、歩道設置などまだまだ整備すべき箇所は多い。
さらに、河口部まで県が管理する駅館川は、大分県有数の穀倉地帯を抱え、流域面積も広いが、堤防などの河川改修や土砂対策はまだ終わっていない。
 「気を引き締めて、管内の皆さんの理解と協力のもと、事業を着実に推進していきたい」と抱負を語る。また、管内では安心院で行われている県内初のラウンドアバウト(環状交差点)の社会実験も「今後の本格的な導入に向け、幅広い意見を踏まえて、安全性や利便性などの効果検証を進めていきたい」と、新しい交通形態に期待している。
 建設業界に対しては、担い手の確保や育成など業界を取り巻く環境は厳しいが「労働環境の改善のために、施工時期の平準化など、発注者としても努力していきたい」と配慮を強調。
加えて「建設業協会の皆さんは、地域の安全・安心を守る役割も大きく、一昨年、中津市耶馬溪町で発生した山地崩壊では、初動から昼夜を問わず崩土の撤去や河川の応急復旧などに尽力していただいた。大変ありがたかった」と心から感謝の意を表した。
 近年、管内では大規模な災害は発生していないが、「気を緩めずに災害に備え、協会の皆さんとの協力体制、防災対策の強化に取り組んで行きたい」と結んだ。
 健康増進のためにスポーツクラブでトレーニングに励み、休日にはロードバイクでサイクリングを楽しむスポーツマン。
サイクリングの途中、職業柄か、道路事情が気になるという。



略歴~1983年に大分高専を卒業し県職員に。
佐伯、別府、中津の土木事務所勤務、河川課防災調整監などを経て、今年4月から現職。57歳。
フォトコン結果発表
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP