大分建設新聞

インタビュー

山口 利幸さん(大分工業高等専門学校長)

2021年04月16日
 国立高等専門学校機構大分工業高等専門学校に4月1日付で就任した山口利幸校長に、高専トップとしての信念、抱負などを聞いた。
 「大分高専の今までの取り組みの中から、強みをさらに伸ばして地域の皆さまに高専を知っていただくことが私の役割」と、大分での新たな仕事のスタートに決意を見せた。
 高専の教員は学生教育が一番大事だが、同時に研究もして地域に貢献しなければならないし、校務分掌や寮生、部活動の指導などもあり、求められることは多岐にわたり大変である。山口さんは「しかし、それらを踏まえて地域に貢献したい。特に災害に強い街づくりは、近年の強大化する災害に対して重要だ」と、災害が続く大分の現状に実感を込めて語る。山口さんは、和歌山高専の卒業生であり、母校でも教鞭を執っていたので、その言葉には重みがある。
 大分高専は、2017年に「地域共創テクノセンター」を改組設立している。山口さんは、このセンターを通して「共同研究、受託研究、技術相談などの産学官連携から地域の産業の振興と人材育成に貢献したい。専門知識を地元に生かす防災、減災には力を入れたい」と、具体的な地域貢献に意欲を見せる。
 高専は個々の学校をみると小規模だが、機構全体では全国51校に約5万1000人の学生が学び、約4000人の教員が教育と研究に取り組んでいる。国立の高等教育機関では東京大学よりも大規模だ。
 しかし知名度の点で山口さんは「いろいろな活動の実績があるので、もっと知っていただかなければならない。そのためには、情報発信に力を入れたい」と強調した。
 一方で、高専の卒業生が社会で活躍している背景には、「中学を卒業した早期に高専での教育を受けている影響が大きい」という。「さらにこの考え方を進め、小中学生にものづくりや工学に興味を持ってもらいたい。公開講座や出前実験などを実践し、県や国を支えるエンジニアを育てたい」と、山口さんは早い時期でのエンジニア養成の土壌作りの必要性を語る。
 学校の始業式のあいさつで山口さんは「高専ロボコンで大分の優勝を期待したい」と話したという。前任の和歌山高専で高専ロボコンに携わり、10年連続全国大会出場と3回の準優勝という経験を持つ山口さんが、近年の活躍著しい大分高専学生へエールを送り、支援の姿勢を示した。大分高専にとって頼もしい話だ。
 また、卒業生へのメッセージとして「経歴には、ぜひ大分高専に在籍したことを表に出して、今の自分を作っているベースはここにあるということをアピールしてほしい」と願い、「同窓会には、卒業生の活躍や進路・就職情報などの検索ができる仕組み、また、在校生に生の声を届けてほしい」と期待を込めて話を結んだ。仕事を離れたオフは、健康維持とリフレッシュを意識してフィットネスで身体を整えるという。
 【経歴】1978年和歌山工業高等専門学校電気工学科卒業、80年豊橋技術科学大学卒業、82年同大大学院修士課程修了、シャープ㈱に入社し中央研究所勤務後、86年母校和歌山高専助手に採用、2000年教授に昇進。1957年4月に和歌山県白浜町に生まれ、まもなく誕生日を迎える。

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