大分建設新聞

インタビュー

佐藤 章さん(大分県農林水産部長)

2021年05月20日
 まず、「農林水産業というのは本県の基幹産業。大分県版の地方創生に向けてしっかりと取組みを進めていくことが必要と考えている」とビジョンを掲げる。 県土の強靱化対策という重要な課題については、「昨年の災害からの早期復旧に全力で取り組んでいるところ」と述べた上で、事前の防災の重要性についても「国が今年度から国土強靱化のための5か年加速化対策という予算を計上しているので、それを積極的に確保する。補正予算を含めて農業用の関係予算を前年とほぼ同額程度の157億円を確保できている。きちんと施策をうっていきたい」と具体的に抱負を述べた。
 さらに「防災重点農業用ため池の特別措置法が20年に成立し、21年の3月に防災工事等推進計画を策定した。この計画に基づいて、21年から10年間で171ヵ所のため池の耐震工事を計画的に実施していきたいと思っている」と付け加えた。
 一方で、市町村や農業関係団体と連携して、米依存の農業体質から高収益な園芸品目への転換を図るための園芸団地づくり計画の中では「水田の畑地化には農業農村整備において地下水位を自動で管理する排水対策施設、客土、水路のパイプライン化などの基盤整備を県内各地で実施していくことになると考えている。建設業界の皆さんに積極的な受注を期待する」と推進に願いを込めた。
 また、農業への企業参入は317社ほどあるが、そのうちの4分の1が建設業界からの参入でウエイトは一番高い。「順調な規模拡大を進めている成功事例がある一方で、営農開始後に栽培技術の習得や向上に向けての課題はあるという声は聴く。そういうところは、振興局の指導員がきめ細かなフォローアップに努めている。せっかく参入していただいているので、ぜひ成功していただきたい」とエールを送る。
 スマート農業については、人手不足や技術の継承に加えて一定以上の規模拡大には「全体的な効率化の中で、ある程度の自動化やICTの活用は必要になる。また、女性の農業参入への可能性にも期待する」と後押しする。
 若い農業経営者の研修会に参加して「企業経営者と同じ感覚を肌で感じた。これからは、企業的な経営感覚を持った経営者が規模を拡大しながら農業をやっていくのも重要」と、将来への期待を込めて話を結んだ。
 「仕事は、忙しければ忙しいほどオンオフの切り替えが大事。メリハリをつけることを意識している」と話す。休みには、映画館で見たいなと思ったものを偏りなく鑑賞してスイッチを切り替える。57歳。


略歴~商工労働部経営創造・金融課長、総務部参事監兼財政課長、
商工観光労働部審議監などを経て、
今年4月から3度目の農林水産部で現職。
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