大分建設新聞

インタビュー

島津 惠造さん(県土木建築部長)

2021年05月24日
 まずは、令和2年7月豪雨災害からの復旧復興。「被災者の方々に改めてお見舞い申し上げるとともに、建設業界の方々には発災直後から迅速で献身的な対応にお礼申し上げる」と話し始め、「昨年度末までに査定件数の7割を発注し、引き続き残りの発注と復旧工事に努めているところ」と現状を示す。また、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が昨年末定められ、5か年で15兆円という規模も示された。「しっかりと活用して、強靱化を加速させたい。新たなメニューに組み込まれている老朽化対策も進めていきたい」と意気込みを加えた。
 さらに、九州の東の玄関口として港の整備を進めているが、併せて、そこにつながる道路ネットワークをしっかりと整備する必要がある。東九州道、中九州横断道路、中津日田道路と、それぞれ大きなフェーズを迎えた。「課題も山積しているが楽しみも多い。地域の地方創生も進むと思う。礎となる社会基盤の整備ということでわれわれの果たす役割も大きい。支えていただいている建設業の皆さまには、忙しい状況が続くが一緒に支えて欲しい」と業界に期待を込める。
 一方「人手不足には危機感をもっている」と前置きし、4週8休を前提とした積算、ICTの部分活用と体験会や研修会による裾野拡大など「労働環境の改善を建設業界の方々と一緒になって進めようとしているところ」と話し、併せて、遠隔臨場による段階確認の手待ちの削減では、試行を重ね確立を狙い、3月に手引きを改訂した工事書類の簡素化は周知徹底して効果を出す。「これらの効果を総合することが、若い人の入職の活性化、女性活躍にもつながる」。女性の入職を促すための就労環境改善には支援も行っているし、ドローン測量などを学ぶスキルアップセミナーは好評。「女性が働きやすい環境への改善は、これからも揺るぎなく進めていく」と力を入れる。
 着任後3つのことを職員に浸透している。「ひとつは、1hour1dayレスポンス」。届けられた声には1時間以内に現場に駆けつけて1日以内に方針、おおむねの方向性を伝える。責任感とスピード感が信頼の源。「二つ目は、連携の強化」。国、市町村、そして大切な建設業界との連携、コロナ禍であっても日常的なあいさつを欠かさず顔の見える関係を作り、リアルタイム情報を共有していくことが大事。「そして三つ目は、共感」。知識や経験を重ねてコーディネートするのがわれわれの仕事。納得していただくためには、労力を惜しまず丁寧な合意形成を進め、ひずみを遺さないこと、と県土木建築部の基礎を改めて固める話で結んだ。
 休みの日には、かつて子どもと一緒に汗を流した少年野球の観戦で元気をもらっているという。58歳。


略歴~長岡技科大大学院建設工学専攻修了、
臼杵土木事務所長、中津土木事務所長、
参事監兼建設政策課長を経て4月から現職。
フォトコン結果発表
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP