大分建設新聞

インタビュー

五ノ谷 精一さん(佐伯土木事務所長)

2021年05月31日
 佐伯土木事務所は1998年から2年間、道路第一係(保全担当)として勤務して以来2回目。当時の業務の中で印象深いのは、県道西野浦河内線の旧トンネルの覆工が老朽化により一部剥落したため、その対応に奔走したこと。通行の安全確保に向け、H鋼でトンネル覆工を支え、剥落の拡大を防止する一方で、地元の方々や関係機関の協力を得て新西野浦トンネルの事業化に向けた取り組みが思い浮かぶと言う。「運動不足の解消のため番匠川や海岸沿いを週1~2回ジョギングしているが、改めて自然環境が素晴らしいと感じる」と佐伯の印象。
 2014年度の中津土木事務所中津日田道路建設室では、東九州自動車道の開通に合わせ、中津日田道路(中津三光道路)の供用開始が決まり、高速道路の成果を発揮するためにも、中津インターチェンジで接続する中津三光道路の完成は待ったなしの状況だった。その中で、道路改良や舗装をはじめ、交通安全施設、道路照明設備など、数十の施工会社が毎週のように参集し安全協議会を開催。工程調整や地元対応など、われわれとともに様々な課題に対して力を合わせて取り組み、無事に15年2月28日の開通を迎えることができた。「ここぞというときに一致団結して仕事に取り組む、建設業界の方々の結束力の強さと行動力に感動した」と業界の力を讃える。
 当面の課題として真っ先に上げたのは、「土木事務所が『地域の総合防災センター』として機能するよう平時から危機管理を意識し、災害時の体制や情報提供の充実・強化に取り組む必要がある」と話す。
 具体的な事業は、施工中も含め6路線8本のトンネル掘削。1・5車線改良に取り組んでいる赤木吹原佐伯線、三重弥生線などの地域道路ネットワークの充実。頻発・激甚化する豪雨災害から県民に生命財産を守り強靱な県土づくりを目指す井崎川、久留須川、提内川の改修。砂防に関しては、上浦で施工中の丸ばえ川のほか、竹野浦川、山王谷川等の堰堤工事などを最重点課題として遅滞なく進めていく―などを挙げている。
 所員には「われわれの仕事は、地域の方々からの様々な期待や信頼に対して、誠実に応えていくことが何より大事。現場をよく見て、地元の声をしっかり伺うなど現場主義に徹し、地域の安全・安心や利便性の向上につなげて欲しい」と期待する。そのためにも「風通しの良い職場づくりと職員の心身の健康管理がたいへん重要であり、自ら率先して取り組んでいきたい」と強調する。
 また、建設業界に対しては「毎年のように県下各地で災害が発生する中、真っ先に駆けつけ、昼夜を問わず対応してくれている。地域の安全・安心のためには心強く、頼もしい存在であり、大変感謝している」と思いを述べた。
 学生時代はバレーボールに熱中した。子育てが一段落した50歳前にして初めてフルマラソンに挑戦。以来、県内の大会を中心に年に1~2回参加する。「佐伯番匠健康マラソンには何度も参加していたが、昨年と今年はコロナ禍で開催延期になり残念」と笑って話してくれた。大分市生まれの56歳。



略歴~1989年の入庁。初任の中津土木事務所を振り出しに
1年間の建設省研修派遣を含め都市計画を含めた道路畑で経験を積む。
2008年から2年間の知事室を経て、土木建築企画課では
土木建築部予算のマネジメント等に携わる。
19年、宇佐土木所長として初めての所属長を経験。
20年、河川課長、21年4月から現職。
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