大分建設新聞

インタビュー

岡本 文雄さん(日田土木事務所長)

2021年06月07日
 日田土木事務所は、約20年ぶり2回目の勤務。「長男が生まれ、約1ヵ月間の欧州海外研修も経験した思い出深い職場」と、当時を振り返る。
 日田土木は、職員1人あたりの事業量、管内の広さ、課題の難易度とも県内トップクラスに位置していると言われるが「逆にそれをモチベーションにして『1チーム』で乗り越えていきたい」と、岡本所長は目指す姿を示した。また、「忙しい中にも笑い声があり、とても良い雰囲気で仕事に当たってくれている」と職場環境を賞賛しながら、「失敗は成功のもと」と言うように「失敗を恐れず果敢にチャレンジしてほしい」と、職員の背中を押す。
 日田土木の大きな柱の一つは、県土の強靱化。天ヶ瀬温泉街を流れる玖珠川は、令和2年7月豪雨で氾濫し、温泉街に甚大な被害をもたらした。岡本所長は「豊後三大名泉に数えられる歴史ある温泉街の存続と治水対策の両立が大きな課題」とし、「地元の方々と行政が一緒に知恵を絞り工夫を凝らしながらまちづくりと治水が折り合う将来像について、地域の思いを束ねていかなければならない」と決意を示す。
 今年3月下旬には、地元や旅館組合の若手などで構成された「天ヶ瀬温泉つなぐ会議」が立ち上がり、将来ビジョンの策定やイベントなどの賑わい創出に向けた議論が進められている。「こうしたまちづくりの活動を下支えするとともに、日田市との連携をより一層強化し、天ヶ瀬温泉街の将来像と両立する河川整備計画を2021年度中に策定、22年度の新規事業化を目指している」と、方向性を具体的に語った。
 もう一つの柱は、広域交通網の整備推進。中津日田道路(日田山国道路)は、移動時間の短縮や安全性の向上、災害時のリダンダンシー(二重の避難路)の確保などの整備効果が期待されている。事務所では5つのトンネルを計画しており、今年度は1号トンネルの避難坑と5号トンネルの工事発注を予定している。「事業推進にあたっては、県民中心、現場主義、公平・公正の姿勢で臨みたい」と、背筋を伸ばす。
 建設業界には「災害対応を始め、社会インフラ整備に関して、常に真摯に業務に向き合っていただいており、頭の下がる思い」と感謝を表し、「官民問わず人材不足が大きな課題だが、これからのキーワードは『人材投資』だと思う」と、岡本さんは人材育成に期待を込めた。
 座右の銘は「初志貫徹」。困難な課題に直面しても「最初に心に決めた目標を最後まで貫き通してきた」と、豊富な経験を礎にする姿勢を示して話を結んだ。
 東京事務所勤務の際、家族とともに上京し、家族を東京に残して逆単身生活を送っているが、コロナ禍で上京できておらず1日も早い収束を願っている。大分市出身。57歳。


略歴~熊本大学を卒業後、県職員に。東京事務所参事、
道路建設課高速交通ネットワーク推進監兼交通政策課参事、
都市・まちづくり推進課長などを経て、今年4月から現職。
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