大分建設新聞

インタビュー

渡辺 文雄さん(県南部振興局長)

2021年06月11日
 県佐伯事務所総務商工課(現在の南部振興局)を振り出しに、多岐にわたる業務に携わってきた渡辺局長は、2007年の第1回アジア・太平洋水サミットの時、ビッグイベントをサポートした県職員として関わった。
 「国内初のサミットで、皇太子殿下やオランダ国皇太子、各国の首相なども出席したため、その運営は記憶に残る仕事」と語る。また、東日本大震災の際には「宮城県名取市に第1陣の隊長として派遣され、1000人ほどの避難者のサポートと罹災証明書の発行を支援した」という大変な仕事も。一方、企業立地の仕事では、4年連続の過去最高件数達成と玖珠工業団地を本格造成し「農林水産部と連携して100億を投資する企業も立地した」と感慨深く振り返る。
 今は、佐伯の産業に目を向ける。水産業は強いので食観光の推進につなげる。マグロ、カキ、伊勢エビなど季節の食材を中心としたキャンペーンを支援するだけでなく「首都圏への販路開拓にも担当部局と連携して取り組みたい」と力を込める。また、山林面積が広い地域なので「佐伯広域森林組合と一緒に循環型林業をしっかりと推進する」と林業の方向性も明確にした。
 一方、農業は、非常事態宣言の中、水田の畑地化に力を入れて「例えばイチゴやレモンなどの高収益品目を導入し農業参入をサポートする。数年は投資期間になるので経営上も支援したい。さらに、市のファーマーズスクールの卒業生である新規就農者には、例えば高収益の県産イチゴ・ベリーツを推奨するなどしっかり支援していきたい」と将来への道筋を示した。さらに「造船業界は厳しいので下支えをしなければならない」と基幹産業も忘れていない。
 建設業界とは「災害時や地域行事で活躍いただいている上に、日頃から夜警なども担っている地域の建設業界は大切。林道の整備、水田の畑地化の整備などにおける地元発注にはしっかりと努めていく」と連携を強調する。
 他方、建設業の雇用では「女性の就業や活躍につながる福利厚生や働き方改革に期待したい」と述べ、「トイレ、更衣室などの物理的改善と育児休暇などの制度改善の充実を進めてほしい。働き方改革は女性だけでなく若い人全体への人材投資となり、結果的に業界の活性化につながる」と期待を重ねた。
 「他地域と異なり、1市1局なので佐伯市とは一体となって産業振興を進めていきたい」と言う渡辺局長は佐伯市の出身。「同級生が地元行政や経済界などで要職に就いて活躍している。一緒に佐伯のことを考えていきたい」と心強い言葉で話を結んだ。
 コロナ禍のため、趣味のゴルフは控え、市内の飲食店巡りのほか、レシピと動画を見ながら料理にチャレンジし、レパートリーを増やすことに楽しみを見出している。57歳。

略歴~東京事務所の次長兼企業誘致課長などを務め、
商工観光労働部企業立地推進課の参事と課長、
商工観光労働部参事監兼商工観光労働企画課長を経て4月から現職。
フォトコン結果発表
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP