大分建設新聞

インタビュー

藤内 修一さん(宇佐土木事務所長)

2021年07月06日
 藤内所長が宇佐市に勤務するのは初めてである。もちろん住んだこともない。「宇佐は、多くの文化遺産に恵まれた長い歴史と風光明媚な周防灘、緑豊かな山々、広大で肥沃な宇佐平野という自然の中で、道路や街づくりが行われてきた。歴史の重さを感じるとともに、豊かさとは何かを再認識させられた」と、まず宇佐の魅力に触れた。
 管内の事業では、県北地域の産業道路として重要な役割を担う中津高田線の柳ヶ浦バイパス、宇佐本耶馬渓線4車線化事業、南北方向の幹線道路で緊急輸送道路でもある国道387号の道路改良などに「スピード感を持って取り組む」と、決意を明らかにする。
 さらに県土強靱化も重要と位置づけ、流域面積の広い駅館川は、県内有数の穀倉地帯や市街地に隣接しているが「堤防などの河川改修や土砂対策はまだ終わっていないので、新技術の活用も検討したい」と、意欲的に語る。
 一方、豊富な経験から感慨深い仕事をいくつか挙げる中で、企画検査室(現建設政策課)では「仕事をやるには組織から」と、12土木事務所に企画調査課を新設し、土木建築部中長期計画地方版を策定したこと。また、大分駅周辺総合整備事務所の時には、交通量が約5万4000台の国道210号大道陸橋を全面通行止めにして混乱なく撤去するため、庄の原佐野線などの迂回路整備に加え、近隣事業所で約1500人に時差出勤の登録をしてもらうなどソフト施策により、全面通行止めにして撤去工事する計画をつくった。
 「工期短縮、工事費縮減は関係した多くの方々のご協力にほかならない」と、この時の感謝の意を思い出深く話した。
 国土の保全、地方創生、安全・安心の地域づくりを進めるには地元に住んでいる地元の建設業者でなくてはならない。持続可能な地域社会に欠くことができない社会資本整備を担い、災害発生時には最前線で地域住民やライフラインを守る重要な産業。「特に災害時の初動対応や復旧工事の取り組みには感謝しかない。土木事務所としても、適正工期の確保や債務、早期繰り越し承認など予算制度の柔軟な活用を積極的に進めるなど業界の下支えをしたい。後継者不足や高齢化にはBUILD OITAなどの広報活動で業界と一緒になって魅力向上に向けて取り組みたい」と、心強い言葉を添えた。
 知事補佐班時代に東日本大震災の対応で危機管理の大切さを叩き込まれたため、県民に一番近い存在の事務所員には「地域の現状・課題を把握し、一人一人が何事にも対応できる危機管理能力、問題解決能力を身につけてほしい」と、求めて話を終えた。
 スポーツが大好きで、大学から始めたスキーは一生楽しみたいそうだ。オフは自転車活用推進計画策定時に始めたロードバイクで宇佐平野を見回りたいと話す。54歳。


略歴~信州大学を卒業して1989年入庁。
土木事務所は大分を振り出しに、臼杵、中津、佐伯、日田を経験している。
道路建設課参事を経て4月から現職。
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